5代目セドリック430型/6代目グロリア430型
(昭和54年6月〜)
 管理人SSにとって、もっとも思い出深いクルマがこの「430型セドリック」である。昭和54年当時、SSの父は「330型セドリック4ドアセダンディーゼル」の低級グレードに乗っていたが、翌年6月に、SSにとってはあくまでも“夢”でしかなかった最高グレードの「ブロアム」を父が購入した。しかも、そのエンジンは日本初として登場したばかりで、当時もっとも話題になっていた“ターボエンジン”であった。現在、国産車の諸性能はどれもこれもが向上し、そういったクルマたちに比べれば、この430型セドリックの性能や装備などははるかに及ばないことは言うまでもないが、SSにとってはこのターボブロアムこそが、今までの中でもっとも好きなクルマであることに現在でも変わりはない。
 その後、どうしても自分でこの430型セドリックを所有してみたかったSSは、かなり古くなってから中古車として購入したが、エンジンは2800のディーゼルであった。これはこれで、かなり優秀なディーゼルエンジンであることを確認できたが、やはりガソリンターボエンジンの“胸のすく加速”といった感覚には及ばなかったものである。
(文中の馬力についてはすべてグロス表示です)
5代目セドリック&6代目グロリア主要諸元表
前期型(昭和54年6月〜)
4 ド ア ハ ー ド ト ッ プ
画像:5代目前期セドリックHT280Eブロアム外観
画像:5代目前期セドリックHT280Eブロアムインパネ
画像:5代目前期セドリックHT280Eブロアム内装
430セドリック前期型最上級グレードである、「4ドアハードトップ280Eブロアム」のエクステリア&インテリア。330型セドリックの曲線を多用した、下品とも言えるほどのスタイルから一変し、直線基調のシンプルな面によって構成され、極力面一化が図られたクリーンなスタイルへと変身した。この直後に登場した6代目クラウンでは、2800に限り大型のカラードウレタンバンパーが装着されて出てきたが、セドリックの場合、前期型では2800といえども大型ラウンドバンパーながらカラードにはなっていなかった。室内に目を向けても、330型からの進歩ははっきりと見受けられ、1980年代に相応しい内容となった。ただし、エアコンや空調の一部機能の使い勝手や、マシュマロのようなやわらかいシートなど、改良の余地があると思わされる部分も少なくなかった。また、ハンドルの応答性は我慢できる範囲内にあるのだが、リヤサスペンションがセドリック&グロリア初の5リンクコイルのためか、やたらロールが大きく、ストロークもまったく足りないといった感じであった。まあいろいろと問題点はあるものの、なによりその雰囲気がかなり気に入っていて、現在でも忘れられないクルマである。ちなみに、この280EブロアムのエンジンはL28E型という145psを発生するもので、当初はこれが430型の中でもっとも速いエンジンであった。また、前期型ではこのエンジンのみECCS(エンジン集中電子制御システム)が装着されていた。しかし、ATはまだまだ3速で、その点ではトヨタの高級車群に及ばなかった。なお、230型・330型にあった2ドアハードトップは、この430型から落とされている。
4 ド ア セ ダ ン
画像:5代目前期セドリックSD280Eブロアム こちらは4ドアセダンの「280Eブロアム」。ハードトップ280Eブロアムとの違いは、オーディオの簡素化のほか、フロントパワーシート非装着となる代わりにリヤパワーシートが標準となり、リヤパーセルのスイングルーバー付き冷風吹き出し口が、天井吹き出しになる点などである。
ワ ゴ ン
画像:5代目前期セドリック200Eワゴン ワゴンはワングレードのみの設定で、グレード名もそのものずばり、「200Eワゴン」であった。当初はエンジンもL20E1本であった。
2800−6気筒ディーゼルモデル追加
昭和54年10月)
2000ターボモデル追加昭和54年12月)
画像:5代目前期セドリックHT280D VX−6 画像:5代目前期セドリックHT200ターボS
10月になると、国産の乗用車としては初の6気筒ディーゼルエンジンを搭載したモデルが登場した。それまではセドリックのみに2000のSD20型と2200のSD22型という4気筒の古いディーゼルエンジン搭載車あったが、この新しく追加されたディーゼルエンジンはLD28型と呼ばれ2800となり、馬力も以前の60〜65馬力程度だったものが91馬力となった。2か月後のターボの登場により、そちらばかりが騒がれたため影の薄い存在ではあったが、それでも各方面からかなり優れたディーゼルエンジンとして評価が高かった。以前のディーゼルエンジン搭載車はセドリックのセダンのみで、しかもMTしかなかったが、この新エンジンはセドリック&グロリア、セダン&ハードトップ&ワゴンに搭載されたうえ、ATも設定され、ディーゼル車の選択の幅がかなり広がることになった。グレードには新しい名称が付けられ、既存グレードとの関係は次のとおりである・・・「VX−6=SGLエクストラ・VL6=GL・VS−6=カスタムS(ハードトップのみ)・VO−6=デラックス(セダンのみ)・ワゴン」・・・SDエンジン時代は、その最高グレードがGLであったが、かなり上級のSGLエクストラと同等のグレードがディーゼルにも登場することになった。なお、ディーゼル車は排気量が2000を超えても5ナンバーであり、その点でも経済的であった。 年末には、L20E型エンジンをターボ化し、L28E型エンジンと同じ145馬力を発生するL20ET型エンジン搭載車が現れた。こちらも、国産の乗用車としては初のものであった。無論、絶対的なトルクはL28Eには及ばないが、L28E搭載車がATのみの設定だったのに対して、ターボ車は当初MTのみの設定であり、このMTのターボエンジン搭載車は、L28E+ATの加速をはるかに凌ぐものであった。SSも一度ディーラーでセールス氏の運転により乗せてもらったことがあったが、体がシートに押し付けられるその加速感にはビックリさせられたものだ。この当時は、3ナンバーというだけで自動車税が5ナンバーの倍額となったために、2800はあまり人気がなく、5ナンバーで3ナンバー2800以上の加速が得られる2000のターボ車は話題となり、かなりの人気を得た。なお、当初のグレードはハードトップが「ターボSGLエクストラ」と「ターボS」,セダンが「ターボSGLエクストラ」のみの設定であった。
一部グレード追加(昭和55年5月)
画像:5代目前期セドリックHT200ターボブロアム 画像:5代目前期セドリックHT200E SGL−F
MTのみでスタートしたL20ET搭載車に3速ATが新設定となり、同時に最高グレードの「ターボブロアム」が登場した。ターボの加速感と、ブロアムのゴージャスな雰囲気?を同時に味わえるというモデルで、これこそ、SSの父が購入したクルマである。ATということで、MTのようにシートに押し付けられるほどの加速ではなかったし、停止からのスタートのもたつきはかなりのものだったが、やはりターボが効果を発揮する30キロぐらいからの加速感は気持ちがいいものであった。 これは「200E SGL−F」という、セドリックのオシャレモデル。ツートーンのカラーやボディ同色ホイールキャップ,チェック柄のシート,固定ガラスによる“スタールーフ”などが特徴だったほか、“A.S.C.D.”(オートスピードコントロール)が新登場して、このグレードにのみ装備されていた。
後期型(昭和56年6月〜)
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画像:5代目後期セドリックHT280Eブロアム ちょうど2年後に登場した後期型。この際280Eブロアムのバンパーがようやくカラードウレタンになり、かなり見栄えがよくなった。室内では、前期型で悪評だったオーディオやエアコンの使い勝手を改良し、SGL−Fにのみ装備されていた“A.S.C.D.”を装着不可にして、新たに280Eブロアムと200E SGLにオプション設定としたほか、ブロアム系本皮革セパレートシート車には新しい試みとして“光通信後席コントロール”がオプション設定となった。本皮革シートのオプション設定も初である。エンジンは、L28E型が10psアップの155psとなり,L20ET型はノックセンサー装着により圧縮比が若干高められ、ターボがわずかながらより低速から効果を発揮するようになり、L20E型は5psダウンの125psになったが、ECCS(エンジン集中電子制御システム)が装着されて実用域におけるトルクを向上させた。また、LD28登場後も残っていた2本のディーゼルのうち、SD22型が落とされている。ATは相変わらず3速のままである。そのほかグレードの追加変更や、一部グレードのエンジン設定変更なども行われた。
画像:5代目後期セドリックHT280D VX−6 SSが中古車として購入したことがある、後期型の「280D VX−6」。この時代のディーゼル+オートマとしては、傑出した性能を誇るクルマであった。とくに低速トルクが大きくて、出足ではL20EやL20ETのAT車以上の速さだった。ただし3速ATであることと、黒煙が凄まじかったのはいただけなかった。ちなみに、SSが乗っていたのは外装が280Eブロアム仕様となっており、色も含めてちょうど左上の画像と同じルックスであった。
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画像:5代目後期セドリックSD280Eブロアム セダンの280Eブロアムもカラードウレタンバンパーとなった
画像:5代目後期セドリックSD200ターボSGL−EXT 200ターボSGLエクストラ。ハードトップ・セダンともに後期型でSGLエクストラからL20Eが落とされ、ターボのみの設定となった。
ワ ゴ ン
画像:5代目後期セドリック200Eワゴン ワゴンはあまり変化していない。搭載エンジンもL20E・LD28の2本で変化なし。
一 部 改 良 (昭和57年後半)
画像:5代目後期セドリック4速AT この時点で、ようやく待望の4速ATが登場した。L28E・L20ET搭載車には電子制御OD付フルロックアップトルコン,L20E・LD28搭載車にはOD付ロックアップトルコンがそれぞれ搭載された。これが日産初の4速ATであると同時に、前述の4速すべてでロックアップ機構が作動するATは世界初であった。トヨタのATを上回ろうとした結果こうなったと思われるが、その効果のほどは・・・? なにはともあれ、ようやくATの分野で、トヨタの高級車と同等になった。また、このときL20ET型エンジンがECCS装着となったほか、“A.S.C.D.”がブロアム系全車とSGL−Fに標準装備となった。さらに、SGL−Fにはデジタルメーターとボイスコンパニオンがセットでオプション設定された。ちなみに“ボイスコンパニオン”とは、運転者の声でラジオの選曲やウィンドゥの開閉を行える世界初のシステムである。
販売店が異なる姉妹車の「グロリア」(画像はすべて後期型)
4 ド ア ハ ー ド ト ッ プ
画像:5代目後期グロリアHT200ターボJN グロリアにのみ設定されていた「200ターボ ジャック・二クラス バージョン」。アルミホイール以外はセドリックの「SGL−F」と同じクルマだが、SGL−Fがほどんど売れなかったのに対して、ジャック・二クラス バージョンは車体内外に同氏のサイン入りバッチやプレートが付くというだけで、非常に人気のあったモデルである。確かにカッコいいクルマだった。
画像:5代目後期グロリアHT200ターボブロアム 「200ターボブロアム」。伝統的に、セドリックはフロントグリルやリヤランプが縦線基調であるのに対し、グロリアは横線基調である。
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画像:5代目後期グロリアSD280Eブロアム セダンの最高峰「280Eブロアム」。ブロアム系のスポーク風ホイールキャップは、盗難に遭いやすい装備品であった。
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画像:5代目後期グロリア200Eワゴン 「200Eワゴン」。フロントグリル以外は、ほとんどセドリックと変わらない。

6代目セドリックY30型/
7代目グロリアY30型
(昭和58年6月〜)
 管理人SSが好きだった430型登場からちょうど4年後にセド/グロがフルモデルチェンジされた。このモデルから形式名の頭にYが付されY30型となった。最大の目玉は何といっても日本初のV型6気筒となったVG型エンジンであろう。このエンジンの出来栄えが相対的にかなりよろしく、430型まで長く続いてきたL型エンジンを一気に古臭く感じさせてしまうほどインパクトの強いものであった。ただ、ディーゼルに直列6気筒が残っていたため、せっかくエンジンの全長がコンパクトになったにもかかわらずエンジンルームのサイズを縮小できず、スタイル的にはV6のメリットが活かされていなかった。それどころか、他車種における革新的なボディスタイルの相次ぐ不調により、かなり保守的となってしまった当時の日産は、モデルチェンジでありながら430型のイメージを継承したうえ、より大きく立派に見える角ばった意匠としたため「デザイン不在」とまで評される結果となった。
 ボディタイプも430型と変わらず4ドアハードトップとセダン、それにワゴンという設定だったが、ハードトップ系にはドアミラー(当初は可倒式ではないが)が初採用となっている。エンジンは3ナンバー車の排気量が2800から3000になり、馬力・トルク・燃費とも大幅に向上しているほか、5ナンバー車のV6エンジンもターボ車、ノンターボ車ともに性能の進化が著しかった。足回りでは、フロントサスが430型までのダブルウイッシュボーンからストラット式となったが、このサスはかなり頼りないもので退歩と感じられる部分だった。
 デザイン(SSは好きだったが・・・)とフロントサスを除けば、430型に比べ大きく進化していることが感じられるモデルチェンジであったが、Y30型から2か月ほどあとに登場した120型クラウンには諸性能でもセールス的にも大きく水を開けられる結果となってしまった。ちなみに管理人SSの父は、Y30登場時点での最高グレードである「4ドアハードトップV30Eブロアム」を購入したが、これはSSが免許取得後、一般公道上ではじめて運転した記念すべきクルマでもある。(文中の馬力についてはすべてグロス表示です)
前期型(昭和58年6月〜)
4 ド ア ハ ー ド ト ッ プ
画像:6代目前期セドリックHT-V30Eブロアム Y30セドリック登場時の最上級グレードである「4ドアハードトップV30Eブロアム」のエクステリア。430型セドリックのイメージを踏襲しながら、より大きく堂々としたデザインとされている。VG30E型エンジンは低中速域における大きなトルクが特徴で、アクセルにリニアに反応してくれるものだった。角ばっているがゆえのボディ感覚の掴みやすさと、思い通りの加速をしてくれるトルクフルなエンジンで、運転はとても楽だったと言える。シートも430型に比べるとかなり硬くなった印象で、バケット感はほとんどないものの、長時間でも腰が痛くなることはなくなった。
4 ド ア セ ダ ン
画像:6代目前期セドリックSD-V20E-SGL 「4ドアセダンV20ESGL」。セダンにはフェンダーミラーが標準装備だった。また、当初は5ナンバー車のバンパーがカラードではなかった。
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画像:6代目前期セドリックWG-V20E-GL ワゴンの最高峰「V20EGL」。ワゴンはVG20E型を搭載したGLとデラックス、LD28型ディーゼルを搭載したカスタムデラックスの3グレード構成だった。
「ブロアムVIP」グレード追加
(昭和59年1月?)
画像:6代目前期セドリックHT-V30EブロアムVIP 120型クラウンにロイヤルサルーンよりも高級な最高峰グレード「G」が設定されていたため、あわてて追加されたのがコレ。ブロアムにマイコン式パワーシート・雨滴感知式ワイパー・録音機能付カセットデッキ・アルミホイールなどが追加され、より豪華な装備を誇っていた。
VG30E・T搭載車追加
(昭和59年6月)
画像:6代目前期セドリックHT-V30TブロアムVIP フルモデルチェンジから1年後に、フェアレディZやレパードと同じ230psを発生するVG30E・T搭載車が追加された。搭載グレードは4ドアハードトップ・セダンのブロアムVIP・ブロアムである。同時にドアミラーが可倒式となったほか、セダンの一部とワゴンを除く5ナンバー車のバンパーがカラードになるなど、一部変更されている。
後期型(昭和60年6月〜)
画像:6代目後期セドリックHT-V30TブロアムVIP
画像:6代目後期セドリックSD-V20E-GL
フルモデルチェンジから2年後にマイナーチェンジが行われた。前期型が不調なため、かなり力の入った改良となっている。まず、アイボリーだったホワイト系のボディカラーが、クラウンと同じような真っ白のクリスタルホワイトとなった。これまたクラウンと同じようにフォグランプ組込となったハードトップ系のフロントマスクは、メッキ類も多用されてかなり派手なイメージに。スタンダードグレードやワゴンなどを除く5ナンバー車にはウレタン式のカラードバンパーが採用され、ドアミラーは電動格納式となって標準装備グレードも拡大されている。VG20E・Tエンジンが可変ノズル式のジェットターボとなり、これは日本発のターボエンジンを登場させた日産の意気込みを感じさせるものだった。また、路面や走行の状況に応じて積極的に制御する、電子制御スーパーソニックサスペンションが一部高級グレードのフロントサスに採用されるなど、とてもマイナーチェンジとは思えない大幅な改良となった。なお、オシャレモデルとして前期型で存在した「F」グレードは、後期型でアーバン系となっている。
販売店が異なる姉妹車の「グロリア」(画像は前期型)
画像:6代目前期グロリアHT-V20Tブロアム グロリアはフロントグリルの形状とヘッドライトの内側がやや斜めにカットされるなどの違いがあるが、それ以外はまったく同じクルマ。

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