特 集  新型車両3000形
平成3年3月に登場した3700形以来12年ぶりとなる新型車両3000形が、平成15年2月1日より営業運転を開始しました。京成としては21世紀を迎えて初めて登場した車両なだけに、それなりに新しさも感じられますが、最近のJRや私鉄の最新型車両と同様、無駄なものを省いてかなりコストダウンされた車両という印象が随所に感じられます。ここでは、従来型車両との相違点や京成初となった装備などを中心に、そのすべてが明らかとなった3000形の詳細について解説してみたいと思います。

■ エ ク ス テ リ ア

画像:京成3001特急上野行:津田沼〜谷津←平成15年2月1日に営業運転を開始した新型車両3000形3001編成。平成14年内に新造される3000形としては唯一の8両編成である。
(京成津田沼〜谷津/平成15年2月中旬撮影)

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壁紙は左の画像をもとにしていますが、画像の切り取り範囲がやや異なるほか、若干加工してあります。

画像:京成3002普通上野行:津田沼〜谷津←平成15年2月5日に営業運転を開始した6両編成の3000形3002編成。平成14年内にこの6両編成が4本も導入される予定なので、とくに各駅停車で3000形に乗車できる機会が多くなることと思われる。
(京成津田沼〜谷津/平成15年2月中旬撮影)

:京成初の装備
・LED式行先種別表示装置
 ついに京成も何かと手間のかかる幕式をやめた。他社にかなり遅れての採用で、これにより関東大手私鉄でLED式を採用していないのは京急だけになったのでは・・・。
・ブロック組立工法によるビードレス完全フラットタイプのステンレス車体
 3500形で外板のみだが京成ではじめてステンレスを車体に用いたときには、あれほど派手なコルゲーションだったというのに・・・。3700形のビード出しタイプを経て、今回の3000形はついに完全フラットとなった。
・集中式冷房装置
 冷房装置については、以前は会社によってそれぞれのこだわりがあり、とくに関東大手私鉄で分散式冷房装置にこだわりを持っていたのが京成のほか小田急と東武であったが、小田急が平成14年2月に登場した新型通勤車両で集中式をはじめて採用したのに続いて、京成もこのたびの3000形で集中式初採用となった。結局、コストの面では集中式が勝利というところだろうか・・・

:在来型車両との相違点
 前面はかなり広範囲にわたりブラックフェイス化され、運転席ガラスを左右に拡大し貫通扉は左側端に寄せて設置されたほか、切妻ではなく真横から見るとややくの字′^の形状をしている。京成通勤車の特徴だった前面貫通扉内の種別表示は廃止され、上部のLEDによって行先種別一体表示となった。ワイパーは運転席のガラス拡大に伴い、横置き式2連タイプに変更され、貫通扉窓への設置は見送られている。
 側面は、乗務員室直後の窓のみ、京成で両開き扉を持つ車両としては異例の戸袋窓が設置され、従来のような開閉が不可能となった。側窓については、扉間の窓は大型窓と小型窓の変則的な組み合わせ、車端の窓は大型の1枚窓とされている。側面の帯配置は従来と同様ながら、幕板部の青帯と腰部の赤帯が極端に細くなっている。車外スピーカーは従来の2個から1個へ減らされている。
 細かい点では、前面貫通扉の支持方式が、3400・3700形ではちょうつがいが外側に露出したタイプできわめて古くさかったが、3000形では支持方式自体が変わったのか未確認だが、外側への露出は見られない。

:その他の特徴
 前面ライト類の位置関係は3700形6次車以降と同じ配置となっている。また、シングルアームパンタグラフや転落防止ほろなども引き続き採用されている。


■ イ ン テ リ ア

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■ 走 行 機 器 類

:京成初の装備
・VVVFインバータ制御装置のパワーエレクトロニクス用素子のIGBT化
 他社ではかなり普及しているIGBT素子によるVVVF制御装置が採用された。3700形6次車以降より、補助電源である静止型インバータ装置の素子はIGBTとなっていたが、制御装置自体のインバータの素子もIGBTとなった。

:在来型車両との相違点
 MT比については、8両編成で6M2T、6両編成で4M2Tと、従来の3400形・3700形などと同様ながら、1つの制御装置でコントロールする主電動機数が4台へと半減している。したがって、制御装置の数は倍増しており、8両編成で6台、6両編成で4台となっている。また、これまでは各電動車にそれぞれ1台の制御装置を搭載していたが、3000形では1つの制御装置箱に2両分2台の装置を収める方式に変わっている。
 主電動機出力は3700形の130kWから125kWへと抑えられている。VVVFインバーター制御の車両の場合はMT比1:1が多く、最近ではT車の比率がM車よりも上回る車両すら見受けられ、その分高出力モーターが搭載されている。しかし、京成の場合は高加減速性能維持のため、以前より各モーターの出力を抑えてM車の比率を高くしてきたと同時に、1C8M制御の採用により制御装置の数を減らしてコストを低減してきた。しかし、今回の制御装置倍増はコストアップにつながらないのだろうか?確かにVVVF制御装置の普及により、3700形が登場した当時に比べれば、装置単体のコストは下がっていると考えられるが・・・ とにかく、1C4Mになったことにより従来に比べ各電動車のきめの細かい制御が可能となっていることだろう。1つの編成で、これほど多数の制御装置を持った車両は、あまり例がないと思われる。
 台車については、ボルスタアンカーが踏襲されたのが最近の車両にしてはめずらしい。
 コストダウンに徹した車両ではあるが、MT比を従来と同等に維持しながら制御装置が倍増された点や、ボルスタレス台車としなかった点など走り装置に関しては安易なコスト低減をせず、しっかりとした造りになっていることは高く評価できると思う。


■ 車 両 走 行 音

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