特 集   芝 山 鉄 道 開 業
画像:芝山千代田駅開業
芝 山 鉄 道 と は・・・?
芝山鉄道は、成田空港建設に伴う地元への見返り事業として、京成電鉄成田空港駅(現 東成田駅)より九十九里方面への延長線として計画された第三セクター鉄道です。昭和52年に芝山町が運輸大臣に鉄道敷設の要望書を提出したのをきっかけに、昭和56年5月1日に芝山鉄道株式会社が設立され、とりあえず東成田〜整備場前間約2.0キロの免許を取得しました。そして空港内地下線から工事を開始したものの、空港の土地問題同様用地取得が思うように進まず、長年にわたり工事が中断したままとなっていましたが、平成12年には最後まで残った未買収用地を迂回することが決まり、ルート変更の認可が取得されました。平成13年には新駅の名称が「芝山千代田」に決定され、平成14年10月27日、東成田〜芝山千代田間2.2キロがようやく開業した鉄道です。

■路 線 概 要

東成田を発車した電車はしばらく空港内の地下トンネルを走行する。そのうち、いきなり左へカーブしたかと思うと今度は右へカーブというように大きく蛇行している部分がある。ここがまさに未買収用地である。それからすぐに地上に抜け、たくさんの飛行機が駐機している整備場を右手に望みながら進むと、終点の芝山千代田駅に到着する。途中に駅はなく、芝山千代田駅も含めて全線単線の路線である。


■ダ イ ヤ 関 係

平日・土曜休日とも日中は京成成田〜芝山千代田間で4両編成による折り返し運転で、朝と夕方以降のみ普通・快速・特急・通勤特急による都心方面との直通運転となる。芝山鉄道線内(東成田〜芝山千代田間)での所要時間は標準約3分で、前述の迂回ルートが駅間のほぼ中間部にあり、ここでかなりの速度制限を強いられるため全般的にスピードが出せない。


■車 両 関 係

京成3600形3611編成8両1本を芝山向けに変更しリースしている。外観ではこれまでのブルー帯のグリーン化と、前面上部に「SR」シンボルマーク貼り付け、側面に「芝山鉄道」社名板貼り付けなどとなっている。なお、この編成は8両のため朝と夕方以降を除くと自社線内に入らずほとんどが京成線内での運用で、それも上野〜成田空港間特急に充当される機会が多いと考えられる。日中の京成成田〜芝山千代田間4両編成折り返し運用には京成車3200形・3300形・3500形が使用される。

画像:京成3217芝山千代田行←成田駅に停車中の芝山千代田行。この日は京成車両中最古参の3200形8M車3217〜3220の4両編成が充当されていた。

画像:3217芝山幕←芝山千代田行の前面幕だが「芝山」のみの表記で、むしろ従来の終着駅だった「東成田」が強調されている。

画像:3220成田行←芝山千代田駅に到着した3217〜3220編成。折り返し成田行となる。


■芝山千代田駅

東成田から2.2キロ、京成上野から70.5キロの地点に位置する駅である。ホームは高架による1面1線で8両編成対応となっており、売店設備はないもののホーム上には待合室が設置してある。また、ホームと改札との間にはエレベーターがあり、トイレは車いす用のも含め改札内にある。駅北側にはロータリーが整備され、成田空港や多古方面へのバス便があるほか、タクシーが数台待機しており待たずに乗れる。コンビニなどの商業施設や飲食店などは現在のところまったくない。

画像:芝山千代田駅←ようやく開業した芝山鉄道の「芝山千代田駅」。新しい駅らしく自動改札機や自動精算機,各種バリアフリー設備も整っている。

画像:芝山千代田駅ホーム 画像:芝山千代田駅付近空港
↑1面1線のホーム。8両編成対応となっているが、8両の列車の場合、上野寄りの車両に乗ると階段まで距離がありホーム幅も狭い。 ↑ホームからは駐機中の飛行機を望むことができる。
画像:芝山千代田駅東成田方向 画像:芝山千代田駅ロータリー
↑ホームから東成田寄りを望んだ様子。ゆるい右カーブと下り勾配で空港内地下線へと通じている。 ↑駅前ロータリーも整備され、バス停やタクシー乗場がある。この日は開業直後ということもあり、駅前のテントでさまざまな地元名産品や土産物などを販売していた。
画像:芝山千代田駅ロータリー内はにわ
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芝山千代田駅の位置を地図で確認!
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芝山町公式ホームページはこちら
↑ロータリー内に飾られた埴輪の模型は、芝山町が古墳や埴輪の町であることをアピールしている。町内には芝山古墳・はにわ博物館のほか、航空科学博物館もある。

■物々しい警備体制

SSが乗車した電車には京成の添乗員が数名乗車していたほか、東成田では警備員が乗り込んできて、連結部の渡り板をめくり上げ不審物のチェックをしていた。つい最近まで時限発火装置による被害は繰り返されており、とくに今回は成田空港に関わる鉄道の開業なので仕方がないことだが、こうまでしないと乗客の安全が守られないといった状況は一体いつまで続くのだろうか・・・ なお、芝山千代田駅から成田空港行のバスに乗ると、途中の検問で警備員が乗り込んできて乗客全員が身分証の提示を求められる。しかし、たまたまとても感じのいい人で免許証を提示しただけでOKだった。まぁこれも成田空港に入る際は必ずあることだが、高校生以上というだけで追い返された開港当時に比べると、ずいぶんと気楽に空港見学ができるようになったものである。


■将 来 は・・・?

九十九里方面へさらに東進することが考えられているが、具体的なルートは未定。芝山町中央部へ延伸した後、総武本線の松尾、あるいは横芝を通って九十九里の蓮沼海岸へ達することが考えられているものの、いつになったら実現するのか気が遠くなりそうな計画である。しかし、今回開業の芝山千代田まででは空港勤務者やごく一部の地元住民が便利になったに過ぎず、いかにも中途半端で、総武本線の駅まで延伸してこそ芝山鉄道の真価が発揮されようというものである。できれば上野方面から松尾か横芝まで高速列車を走らせれば、かなり迂回している総武本線に比べて時間短縮され便利になる。また、旧成田空港駅である東成田駅も現状では立派な設備が活かされておらずもったいないので、優等列車運転開始時の待避駅とすると同時に、第1・第2両ターミナルへ動く歩道を設置して、空港アクセス駅とするべきだと思う。

画像:芝山千代田駅東側←芝山千代田駅東側の高架線。あきらかに将来の延伸に備えた構造となっている。しかし一体いつになったら延伸されるのだろうか?

画像:早期延伸立て看板駅前に設置された早期延伸を要望する立て看板。どう考えても今回の開通だけでは芝山町の大半の住民にとって本当に便利になったかどうか疑わしく、せめて芝山町中心部まででも早期延伸が望まれるところである。なお、看板内のイラストは芝山向けに変更された3400形、あるいは3700形となっているが、実際に芝山色とされたのは前述の通り3600形である。


■車両走行音

リンク:430ターボ走行音
←芝山鉄道線内(東成田→芝山千代田)の走行音です。乗車した車両は3200形3219-TDカルダン車で、録音したのは平成14年10月下旬です。未買収用地を迂回しているカーブではかなりの低速走行で、その様子もおわかりいただけることと思います。


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